なくした物まであと少し@はてなブログ

雑記帳やら備忘録。年1更新が目標です。

ヘンリー六世@彩の国さいたま

28日に彩の国さいたまで公演されているシェイクスピアシリーズのヘンリー六世を観劇してきました。
ちなみに原作には目を通していません。


今作は上演時間がおよそ6時間以上にも及ぶ長作。
休憩時間も入れてしまえば実に8時間もの間見ている事になるのです。
見る前でこそ、途中で飽きたり眠くなったりするのではないか、そのような心配があったのですが、実際見に行った感想としては、それぞれのパートで盛り上がる場面が最後にあり、飽きることなく8時間観劇する事が出来ました。
これは中々に凄い事で、なぜならば8時間というのは映画で言えば4本分以上です。その間飽きずに、また辛くならずに見る事が出来るエンターテイナメントというだけでも中々凄い物だと思えます。(まぁ、休憩時間もあるので単純比較できませんが)

この作品は前半1部、2部。後半1部、2部という構成になっています。
ヘンリー六世という戯曲の概略を述べると、百年戦争とバラ戦争、更には宮廷内の権力争いに翻弄される若く、優しい王の物語です。


とまぁ、若干私見の入ったあらすじを述べたところで、全体としての感想を。
8000円程度の価値はアリ。されど2万円は…???
ってな感じですね。


前回みたリア王で個人的に注目していた池内博之さんですが、今作での印象は…
サフォーク伯爵を演じるには若すぎたかなぁ…と。脚本のせいもあったのかもしれませんが、妻がいる事での浮気に対する葛藤や恋に落ちた衝撃などがあまり上手にあらわせていなかったような気がします。
しかしながら、大竹しのぶ演じるマーガレットとに対する愛の告白には前回見せた輝きを再確認する事が出来ました。これからに期待できる俳優である事は間違いないと思います。


さて、今回の演劇の目玉の一つとして大竹しのぶがあげられると思います。
ネットの評価を見ても大竹しのぶの演技は好評のようでした。けれども自分は残念ながら、そのように感じる事は出来ませんでした。
大竹しのぶは確かに体当たりな演技をしているのですが、今回それがプラスに働いていたのはヨーク公と舌論するシーンのみでは無かったのではないのでしょうか?
強いてあげても上でも書いたサフォークの告白シーンぐらいでは…。
う〜ん。その他の部分に関して言えば、恐らくマイナスになっていたと思います。
ジャンヌダルクは只のキチガイかつ下品な女性のように見えましたし、またマーガレットも王女としての気品は一切感じられませんでした。喋り方もまくしたてているだけで、強気とも違うような、そんな印象を受けてしまいました。
あとは殺陣で剣を振れていなかったのは、まぁしょうがないのかな?


あとはマイクを使わないで演じていたようなのですが、今回B席であったためか声が聞き取りづらい場面が多々ありました。コレは多分、普段は壁にしている舞台の裏側を客席にした影響もあるのではないかと邪推しています。


ん〜とまぁこんなところか。
全体的には、俳優さんが(シェイクスピアを演じきるには)”若い”という感想でした。
しかし若手でも何人かおっ!と思わされるような演技をしていた方もいたので、悪いところばかりじゃなかったのかもしれません。


酷評ぎみなのは、今まで見た”リア王”や”リチャード三世”の様な引き込まれる場面がなかったことに起因しています。これは、元々の戯曲としての完成度のせいなのか、演出家である蜷川幸雄の失敗であったのかは分かりません。
けれども確かに言えるのは、手放しで人に薦める事は出来ないということだけです。


今回の俳優さんの中で特に良かったと思ったのは原康義さん、吉田鋼太郎さん、高岡蒼甫さん。星智也さん
吉田鋼太郎さんはベテランなので当然といえば当然なのかもしれませんが(笑)
原康義さんは自分は寡聞にして存じ上げなかったのですが、引き込まれる演技、落ち着き、そういった物を見せてくれるとてもいい役者さんだと思いました。素晴らしかった。
んで、今回若手(?)で魅せてくれたのはこの二人でした。高岡蒼甫さん、星智也さん。
高岡蒼甫さんはリチャードにしてはカッコ良過ぎましたが、それは仕方ないですね。演技自体もこれからが期待できるのものであったと思います。
次に星智也さん。この方も良かった。この方もこれからに繋がって行く俳優さんであることを感じ取れました。


上川さんについては僕は役不足でも役者不足でもなかったと思います。
なんかネットでは役不足であるとの感想を良く見たので。


長くなりましたがコレで感想を終わりにしたいと思います。